鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

鳥と寺社 改め 狐と油揚げ(東京都大田区:穴守稲荷神社)

最近、私は「狐」に憑かれています。
というのも、よくお参りしているお寺の片隅に、どこかで身元の無くなった狛狐が、沢山のお地蔵さんや道祖神の中(所謂、無縁仏)に混ざって置かれていた事がきっかけです。
その狐は高さ20センチくらいの小ぶりな石造りで、阿・吽と対になって座って居るのです。顔や形の印象からしてそんなに古いものとは思えませんが、その佇まいたるや、作った人の思い入れを感じる、とても可愛く素敵な狛狐なのです。

無縁仏が如何なるものか知っているつもりではありましたが、私の推測では周りの石仏達はきっと、道路拡張等で行き場を無くして、そのお寺に運ばれてきたのではないかと思います。

器ものは100年経つと命が宿ると聞きます、私にとって人や動物の形をしているものも「器」と思えるので、その、狐たちに出会ってからと言うもの、妙に狐に敏感になりました。

狐は悪さをするとか人を化かすとか、あまり良い印象が無いような説もありますが、狐狸の類は昔から人にとって身近な存在の筈です、お稲荷さんにしても農作物の豊穣を祈願して、「稲成」とか「稲生」に語源があると聞きました。

昔話を読んでみると、狐が人を救ったり、火事を知らせてくれたり、そんな良い狐も沢山居るようです。落語の「王子の狐」に至っては、化かすつもりの人間に逆に化かされてしまうお噺ですが、そんなのお茶目な狐も居るくらいです。

「善弧」お稲荷さんにお遣えする眷族の狐や、「野弧」いたずらをする狐、「九尾の狐」や「安倍晴明の母は狐説」等、調べだすと様々ですが、何でこんなに狐に惹かれるのか?、とにかく会ってみようじゃないか!と、大田区の「穴守稲荷」というところに行って来ました。

この町は狐が大切にされているようで、駅前にも可愛い狐の像が居りました。

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お稲荷さんの敷地内ではそこかしこに狐が沢山。入り口の「狐塚」では眷属の狐たちがこの神社を守護していました。

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それにしても狐の密集したこの塚、みんな生きているみたいにこちらを見て居るように思えます。
実際に狐が集まったらこんな感じだろうと思うと、怖い顔の狐、可愛い顔の狐、個性もそれぞれで人間と同じだなぁと感じました。

沢山の赤い鳥居や狛狐に目をやりながら、先ずは拝殿にお参りを。

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お賽銭箱の前には「油揚げ」がお供えされていましたが、参拝の人が写ってしまったので写真はトリミング、果たして本当に狐は油揚げを好むのでしょうか?未知…。 

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千本鳥居をくぐった突き当たりに、「お穴さま」と呼ばれる奥の宮があり、「護身砂」が頂けます(玄関先に蒔いたり。身に着けて持ち歩いたりすると、所願が叶うという、ありがたいお砂です)。

その裏手にも小さなお稲荷さんが所狭しと祭られていて、様々なご利益を得る事が出来るようです。

お穴さまは岩を削ったようなつくりになっていて、その岩は裏から回り込んでの上に登ることが出来ます。
↓お穴さまの屋根(岩)の上、にも小さな祠が幾つかありました。

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最初はどうしてこんなに「狐」に惹かれているのか、自分でも不思議でしたが、 狐だらけの神社に足を運んでみて、優しい狐も沢山居るのだなぁと、改めて思いました。

だって、自分でも狐は「怖い」ものと思っている節がありましたから、この町では狐がとても優しかったのです。
善弧、野弧、その他「狐」の名のつく妖弧の類も様々に語り継がれている様ですが、私は人の暮らしと身近に在った「弧」に惹かれて(憑かれて)居るようです。

そして、一目ぼれしたご朱印帳は穴守稲荷のオリジナル「狐のご朱印帳」です。

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ご朱印も頂きました、キレイな筆運びにうっとりして、写真も凝ってみました…。

 

今回は「狐」に夢中で「鳥」に出会うことが出来ませんでしたが、このご朱印帳はこれから「神社用」に活用していこうと思います。

さてさて、お次は「王子の狐」にも会いに行きたいものですが、気まぐれなのでご興味ある方は懲りずにお付き合いください…。