猛暑日が続いて大量の汗が出ると共に、身体の中の細かな細胞がどんどん新しいものに入れ替わっていくような気がします。
そんな暑い夏が大好きな「はなぶさ堂」ですが、諸々の事情が重なってブログに関しては久しぶりの更新なので書きたいことがとっても溜まって居ます(汗)。
さて、前回の予告からとっても引っ張ってしまいましたが「ペー達のおはなし」を今日は綴らせて頂きます。
まず「ペー達」ってなに?ですよね?
キンカチョウと初めてあった時その鳴き声に魅了された方は数多いかと思います、私にはその声が「ペーペー」と聞こえたのです。
キンカチョウの鳴き声には色々なオノマトペがつけられますけど、「ミャーミャー」とか「メーメー」とか、「猫みたいな声だ」とか言われます。
はなぶさ堂ではキンカチョウとの会話に「ペーペー」を用いているので、キンカのヒナたちの意味で文中「ペー達」を用いますのでまずはお見知り置きを…。
それでは「ペー達のおはなし」そこそこ長いお話ですが、のんびり楽しんでくださいね。
時は遡って2017年2月、まだ長袖で過ごしていたひんやりする季節のこと。
キンカチョウの「シド君♂」と「たまき(環♀)」の間に1羽のヒナが孵りました。
たまき♀もシド君♂も育児放棄はしない子なのですが、早々にお迎えが決まったので、この時ちょうどさし餌をしていたクリーム文鳥のヒナ達と一緒に育てることにしました。
クリーム文鳥を追い抜く勢いでたくさん食べて、どんどん成長したこの子はシド君♂にもたまき♀にも似てなくて、グレー系統のパイド風な可愛い羽がとっても綺麗な子になりました。
母になった「たまき(環♀)」この子は「はなぶさ堂」に来る前はいじめられっ子で飛ぶこともできず、うちに来てからは床暮らしのヒメウズラ達と遊んだり、色んなエピソードがあったのだけど、とうとうお母さんになりました。尾羽だってしっかり生えてます!。
だけどね、産後のイライラなのか旦那さんのシド君♂をいじめ始めちゃったんです…。
やられちゃった…(汗)。男の子なのに…。
ちょっと残酷に見えるかもしれませんが、背中の羽をむしられたシド君♂…、でも大丈夫、この程度の怪我ならば血が出てなければ問題ないと、シド君♂、隔離…。
その後、たまき♀はこんな事したにも関わらず、夜な夜な「寂しい寂しい」とペーペー呼び鳴きをしていたのです。
なので数週間の後、年上の「てん(甜々♂)」と一緒に生活をすることにさせました。
てん♂は「なつめ(棗♀)」という子育て下手な子と何度か抱卵を失敗しています。
だけどそれも経験、そして年上の貫禄か「たまき♀」はすんなり「てん♂」と仲良くなりました。
そしてほら、赤ちゃん。
3月22日の写真です。
ちょびっとだけ見せてくれたけど、すぐに子供達を守るたまき♀。
今度は旦那の羽をむしったりはしていません。
それから10日程度が経って…。
目が開きたてのペー達、4羽元気にお外に出られました。
そうそう、キンカチョウは文鳥と違ってヒナの成長はとても早いのです。
文鳥の場合だと15日程度で目が開きますけど、キンカチョウの場合は僅か10日程度。
そして身体もとても小さいです。
どちらかというと十姉妹の成長のタイミングと近いですけど、キンカチョウの場合は親鳥が育児放棄をしてしまったり、育児下手で巣の中で踏み殺すなんてアクシデントもあります。
十姉妹の場合はとても子育て上手なので、あんまりそういう心配はいらないけど、キンカチョウの場合は親鳥の性格次第、ヒナを巣上げするタイミングはとても難しいところです。
ほわほわの毛がまだ残っているバブーな赤ちゃん。
2羽は真っ白い羽が伸びて来ました。
当然まだ立つことすらできません。
上から見ると羽根の先っちょだけ少し開いて来ています。
そしてもう2羽、左の子はクリーム系統の色の子、お父さん似のイザベラフォーンという色。
右の子はやや濃いめ、この子はフォーンという色の子になります。
そして4月12日の写真、そうなんです、キンカの成長はとっても早いの。
生後20日程度でこんなに成長してしまいます。
でもまだ上手く飛べないし、さし餌だって必要です。そしてこのくらいの時期は手の平に全員乗っけてもどこへも行かないほど忠実です。
先ずは柔らかいところで放鳥の練習。
だってまだまだ子供達は、こんなにふかふかのマットの上で生活しているのだから、少しづつ色々な「大丈夫」を教えてあげるのが良いんです。
指をさし餌の棒に見立ててお歌の練習をしたり。
ティッシュで怖がる子に育たないように、ティッシュで包んで頭をカキカキしてやったり。
(写真がよくないけどご満悦の顔ですよ…(汗))
成長は早いけどこうやってひとつひとつ小さいうちに知ってもらうんです。
そうするとヒナ達は、畚からも自分の力で飛び出せるようになって、安全な場所や自分たちのお気に入りの場所に飛んで行けるようになります。
水浴びだってできるよ!
手前の左にいる子はクリーム文鳥の若鳥、この子が水浴びするのを真似してペー達も水浴びを覚えました。
水浴びをした後、抱っこしてやるとまだまだ充分ヒナのあどけなさが残っています。
そして少しづつクチバシはキンカ特有のオレンジ色に変わりはじめる頃、まだまださし餌を欲しがるけど、もうそろそろカゴ暮らしを始めようか?
そしてだいたいクチバシがオレンジ色になってきた頃に、男の子はお歌の練習を始めます。
ちなみにまだ頰は染まっていないけど、手前の3羽が男の子、写真の後ろにいる白キンカさんだけが女の子でした。
先ほどのクリーム先輩(止まり木左の子)、この子はとても気立てが良くて他のどの鳥といてもその場を和ませてくれていたのです。
キンカチョウには実は難癖があって、大勢一緒のカゴに入れておくと仲違いをする子もいるのです、親鳥のたまき♀がパートナーの背中の羽をむしってしまう様に、ある程度成長をすると遊びのつもりなのかな?結構痛々しくなるまで羽をむしられる子が出てきます…。
決して全てのキンカが必ずそうする訳ではありませんけど、十姉妹と違ってキンカチョウという鳥は攻撃性0ではないのです。特にキンカ女子は怒ると怖いのです…。
そういう事もあってクリーム先輩に加勢してもらって、しばらく一緒に生活をしていました。
そうすると不思議なことに誰も喧嘩したりしないの…。
クリーム先輩の兄弟(左)は今や立派なクリーム文鳥へと換羽を遂げて「める(芽留♀)」という名前をもらい、今もはなぶさ堂に暮らしています。
クリーム先輩(右)は淡い色のクリームパイド、その気立ての良さもあって、鳥作家さんのお友達のおうちにお迎えされて行きました。
先輩がお迎えされると同時にペー達の中で唯一女の子だった白キンカさんも、キンカ大好き作家さんのお家へお迎えされて行きました。
そんなこんなしているうちに同時進行…(汗)。
先のペー達のさし餌が未だ終わっていないところに、えっ!また次なるペー達!
そうなんです、てん♂と たまき♀の間のふた腹目の子供達なのです。
写真は5月5日、一ヶ月半程度で2回目の子供達が孵りました、それも5羽中4羽がイザベラフォーン。
イザベラフォーンの羽色はとても綺麗です、都内のショップなどでもなかなか見かけないので、人気も高いのでしょう。
と言う訳で、あっという間に3羽のお迎えが決まって、残った二人も日に日に成長、なんと2羽とも女の子が残りました。
そして同じ頃にお世話していた、今季最後であろう文鳥のヒナまたしてもクリーム文鳥、そうクリーム先輩2号なの。
文鳥の雛のシーズンは9月〜4月頃までなのだけど、この子は一羽だけ孵った5月産まれの子、とっても優しい子です。
そして、先輩2号はやっぱり誰とでも仲良しで、念願のイザベラ女子は「盛ってるんじゃないか?」と思うくらいにおめめパッチりの超美人!フォーン女子も負けず劣らず可愛いのです。
そして、またまた同時進行で、前回の記事で紹介した十姉妹の「むらさき♀」と「きなり♂」の子も一羽だけ孵りましたよ。
母のシルバーよりももっと濃いめの男の子。
十姉妹には信頼が置けるので、たまにこうして親鳥に任せたり。
どんな色に成長するかなぁと思って居たけど、
現在は見違えるほど立派なチョコレート十姉妹(ヨーロッパ十姉妹)に成長して居ます。
さて、もうこのくらいかな?とお思いでしょうみなさん。
7月1日産まれ、3羽の赤ちゃんペーが孵りました。
然し乍ら、はなぶさ堂はこの時お引っ越しを控えていて、訳あって今まで鳥達のお世話をしていたマンションと、母が暮らしていた実家を一度にまとめて引っ越さなくてはならくなったのです…。
引っ越し予定は7月11日丁度巣上げのタイミング、あんまりドタバタしていたので今回ばかりは親鳥に任せようと思って、てん♂と たまき♀に子育てを委ねたのです。
順調に成長しているペー達、引っ越し先へは12日の夜に到着。
この時点で目は開き、フォーン1羽、イザベラフォーン1羽、白キンカ1羽であることがわかりました。
毎朝の餌やりは当然するけど、親鳥任せにして毎日元のお家を片付けに家を留守にしていました。
そして、ある朝3羽いたはずのヒナが2羽になっていたのです…。
それも真っ白い羽がそこいら中に散らかっていたのです…。
でも、カゴの中には居ない…。
慌ててあたりを探しました、雛の身体はとてもとても小さくてカゴの柵と柵の隙間から外に出ることができたのです。
室内の出来事なので、落ち着いてカゴの周りを探しました、そしてそこには血だらけのヒナがうずくまっていました…。
すぐさま手の平にすくい上げてやると、息はある。
でもこの状態、救えるのか…。
引っ越しのドタバタで何がどのダンボールに入っているのかさっぱり解らず、小麦粉等止血に使えるものが見つからない…。
どうしよう、どうしよう、手の中では小さな命が心臓の鼓動で訴えかけてきます。
でも冷静に、血で染まった白い羽を水が傷口に染みない様に丁寧に洗って傷口を確認しました。
背中と左の主翼のほとんど羽がむしりとられていて、肩と背中が擦り傷の様に赤く晴れていました。
恐らく、未だ何にもわからないヒナの事、巣立ってみたは良いけど、カゴの隙間に挟まってしまって、羽が抜け血が出るまで暴れたのでしょう…。
ふと思い出したのは実家から持ってきた救急箱、幼い頃からあったのだけど年季が入っていい感じになって居たので捨てずに持ってきたのです。
そして、中を確かめて何か止血に使えるものを探しました、見つけた薬は「ホルムス」という薬、うちの母はこれを私が子供の頃から「赤ちゃんのおへそのくすり」と呼んで居ました。
パッケージには「外傷散布剤」と書いてあります。確かに子供の頃に黄色の粉薬で転んだひざ小僧の傷を治療してもらった事を思い出して、思い切って雛の患部に振り掛けて止血を試みました。
血はすぐに止まりました、鳴き声もひとつ「ペー」とあげて、当然さし餌も必要だったので、畚で寝かせてなんとかこの時は一命を取り止めました。
畚の蓋を開ける度に気が気じゃなかったけど、口を開けないのでさし餌は殆ど食べられず、朝晩2回シリンジによるほんの少しの強制給餌で、あとは自分の力で乗り切れるかどうかというところでした。
大丈夫!元気だもん!
本日8月8日に撮影、背中の羽はイマイチだけどね、少しずつ生え揃ってきてます。
この子もおめめの大きな可愛い子、まだ隔離しては居るものの他のペー達と元気に呼び鳴きをしあって居ます。
ちなみに兄弟達は今回の事情から、同じ事が起こるといけないので、事故の起きた当日に信頼の置ける鳥屋さんに引き取ってもらいました。
でもね、この子にはまだこんなに兄弟が居るの!。
写真左「シド君♂」背中もすっかり綺麗になって若い男子チームのリーダーやってます。
写真奥のブラックチークは新入りさん。
そして手前の3羽が、てん♂と たまき♂の最初の子「はなぶさ堂」に残った男の子達。
名前はまだありませんけど、頬もしっかりオレンジに染まってもう立派な大人です。
そして、この子達はふた腹目の子達、二人とも女の子。
イザベラ女子とフォーン女子、起こると怖いんですよ〜(笑)。
ちなみに下の写真は「なつめ♀」と新人のペンギンキンカさんなのだけど、上の二人にやられました…。
背中やさぐれてます…。
はい、ここまでが「ペー達のおはなし」。
長くなりましたけど、この数ヶ月でペー達には色々なことを教えてもらいました。
キンカチョウ、怪我の多い小鳥ですけど、もっと触れ合える子達に育てていきたいですね。
さて、次回のおはなしは。
10年間鳥達と一緒に暮らしたマンションの一室、とてもとても愛着のあるお部屋だったのだけど、東京都から一路「小江戸川越」にお引っ越しをしました。
鳥達もみんな連れて少しずつですが未だ片付けに追われております。
川越では新規一転「第一種動物取扱業者」として鳥達の飼育、繁殖はもちろん、販売や預かり業務も行って行ける様になりましたので、次回は夢に一歩近づいた「はなぶさ堂のお引っ越しのおはなし」を綴らせていただきます。
今までの鳥達に加え、新しい仲間達も紹介します、お楽しみに!