鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

お引っ越しのおはなし -昭和的小鳥サロンを作る-

2017年夏、人生において大きな分岐点に立ちました。
10年間鳥たちと暮らしたマンションの一室、大好きだった部屋と町だったけど、訳あってお引っ越しをすることになりました。

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およそ8畳程度の小さなお部屋だったけど、思えば鳥たちの為に色々工夫して棚を作ったり自分の寝場所さえも狭くして暮らした10年…。
色々な思い出もたくさん詰まっているけど、家庭の事情から引っ越さなくてはいけなくなりました。

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空っぽになったマンショのお部屋、確か入居の際にもこの場所に一番最初にスツールを置いて、コンビニで買ったお茶とおにぎりを食べたっけ…。
そんな思い出を背に、最後の日もここでお茶とおにぎりを食べ、この部屋にお世話になった感謝の気持ちで涙すらこぼしました…。

だけど、引っ越しというものは前向きで、新しいこともたくさん考えさせてくれるものです。
今回の引っ越しは、望んだ引っ越しではないのだけど、これを機に「第一種動物取扱業者」の申請をして鳥たちとの生活を充実させる、そんな「夢」も一緒に抱いて物件探しは難航しました。
そして、はなぶさ堂の新しい移転先に選んだ町。

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そう、時の鐘が時間の流れをゆっくりと進めている町「小江戸川越」です。
以前に何度も訪れた川越の町、このブログでも記事を書いたことがありますけど、古い町並みも大切に残って居て、観光地としてもたくさんの人が訪れる町。
そんな川越市で「古民家?」とまでは言えないけど、昭和の匂いの残る造りの小さなお家で気持ち新たに「はなぶさ堂」の活動は始まるのです。

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川越の丸広デパート、鳥作家の友達から「屋上のペットショップにキンカチョウがいるよ」と教わって早速屋上へ。
お天気はイマイチでしたけど、そこはまるで夢のように理想的な昭和のデパートの屋上!懐かしの屋上遊園地!しかも観覧車までもがまだ残って居ます。
そして夏場はビアガーデンもあって、もちろんペットショップには鳥さんもたくさん居ました。
観光ではなかなか来ない穴場かもしれませんね。

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そして憧れの川越を自転車で走る。
先ずは地元の神様にご挨拶「川越大師 喜多院」へは自転車だと7〜8分てところかな?
お気に入りのみどり色の「TOKYO BIKE」で川越散策。

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実は「川越」にするか「谷中」にするかとっても迷ったお引っ越し、川越で谷中発祥の自転車に乗れるなんて、ものすごい自己満足です…。
みなさん!川越でみどり色のTOKYO BIKEを見かけたら「はなぶさ堂さん!」って声をかけてくださいね〜。笑。

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喜多院のお隣「成田山川越別院」では毎月28日に蚤の市を開催して居て、その規模はなかなかのものです。
もちろん、はなぶさ堂は古い竹かごを求めて物色しましたが、あんまり竹かごって出ないんですよね…。

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カゴはなくとも、古くて良いものはたくさんたくさんありました。
古物の小さな箪笥とか欲しいものだらけで、ここばかりは自転車で来た事を後悔…。

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そしてこの辺は住んでないと通らないであろう、広〜い田んぼの土地。
もう収穫が近いのか稲穂が首をもたげて黄色と緑色のコントラストが風にそよいで気持ちがいい季節です。
東京は新宿生まれのはなぶさ堂、こういう場所に来ると嬉しくて嬉しくて、だって子供の頃から「田舎」と言える場所を持って居ないのだもの…。
広く広く続く田んぼの畦道を行くと、まるで果てしない海の上を自転車で走っている気分になります。

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田んぼの途中の古めいた木製の電柱、こういう些細なところにこそ、この場所に古くから人の手が入っている年季を感じられるのが嬉しいのです。
「この電柱はきっと夜中に一人で歩き出すよ。」そんなイーハトーブのような幻想に包まれつつ、どんどんこの町が好きになります。

えっ?鳥の話をしろって?
はいはい、ちゃんと鳥たちも一緒に新しい生活に馴染んで来て居ますよ。

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東京から川越間それほど遠くはない距離ですけど、鳥たち全部を連れて来るとなると、これは大ごとでした。なんせ40羽以上も飼育しているのですから。
写真はお引っ越しの時に「追い込みかご」に入ってもらった、十姉妹とキンカチョウ達。
江戸の商の鳥屋であればこの倍の数は鳥達を詰め込んだのでしょうね…。
まとめて一つのカゴに入れるのは初めてだったけど、追い込みカゴというのはよくできて居て、移動の際にも鳥達が暴れないように、とても背が低く作られているのです。
そしてどう言う訳か、たくさん一緒に入ると鳥達は喧嘩もしなくなります。
西東京の「ことりやさん」からお借りした追い込みかご、とても重宝しました。

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そして文鳥達はと言うと、カゴのまま車に積んで連れて来ました。
引っ越し早々、ごちゃっと積まれた竹かごですけど、みんな車の中でも大人しくして居てくました。

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そして面白いのが、近所に素晴らしい骨董屋さんを見つけた事、まるで骨董品の倉庫の様なお店なので、私は勝手に「からくり問屋」と呼んでいるのだけど、なんとここにあるわあるわ「竹かご」がたくさん!

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こちらは倉庫の様な店内の天井からぶら下げられた巨大な「雲雀カゴ」。
うううううん欲しい欲しい!欲しいけど、これは柵の間隔が広すぎて小鳥は逃げてしまうなぁ…、でも欲しい!。然し乍ら、これには売約の札があり、お店の中でちょこんとぶら下がって居た別の丸カゴを引っ越しの記念にお迎えしてまいりました。

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アジアンチックなデザインのカゴ、実際に小鳥を飼うために購入する人はどれだけいるのだろうか…。

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またここで少々「はなぶさ堂」の竹かごうんちくが始まってしまうのですが…、古物のカゴは骨董屋に出回ってるものだと、たまにニスが塗ってあるものがあります。
元々は飼育用に作られて居ますが、時間の流れとともにインテリア用品に代用されていくものもあって、リサイクル品としても綺麗に見せる為なのか、ニスが塗られてしまうものがあるのです。
そしてこのカゴがそのニス塗りなのです。
ニスが塗られていることで入口の蓋が開かなかったり、細工が外れなくなって居たりしますので、購入の際には目利きの一点として覚えておくと安く手に入ることもあります。

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底板も外してみると、ニスのバリがカリカリと剥がれます。
要するにこれは、分解をしないままニスを塗りたくった証拠です。
だけどこう言うのは紙ヤスリなどで軽く磨けば大丈夫、取り外せる部分の組み合わせがうまくいっていれば鳥の飼育カゴとしては万全です。

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底板はベニヤ板に井の字の適当な補強、これもニスでキラキラしてますけどニス自体は最近塗られたものではなさそうなので、鳥達に悪影響などはないと考えて大丈夫。
万が一、ニスの匂いがほんのりとでもしていれば、直近の持ち主が塗った可能性もありますから、そう言うものは飼育用には買わない方が良いです。
どうせなら漆を塗ってくれれば良いのになぁ…。

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底板の引っ掛け部分、裏側から駒を持って回して引っ掛ける仕組み。
これは意外にしっかりしてました。

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噛み合わせはイマイチだけど、しっかりと底板がハマります。
こんなうんちくをお店で話して居たら「からくり問屋」の奥さん、とっても安くしてくれました…汗。

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そして綺麗に水で洗って、引っ越しの餞別に譲り受けた はなぶさ堂では2羽目のホオグロ文鳥「ヤトさん(夜徒♀)」のお部屋に決まりました!。
道具と言うものは、その使い道の通りに使われるのがやっぱり嬉しいみたいで、中に鳥が入れば、それはそれは嬉しそうに見えてしまうんです。
ヤトさんも窓際で気持ち良さそうにして居ました。

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それからと言うもの、からくり問屋のご夫婦とも仲良くなれて、お店にあった竹かごを全て買い占めてしまった「はなぶさ堂」であります…。

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さてさて、それから「はなぶさ堂」の飼育部屋がどうなったかと言うと、大好きな竹かごを使って展示できる様な空間作りを目指して、鳥達にとっても優しい空間が仕上がりました。

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この段階で第一種動物取扱業者の手続きを行い、無事に申請も通って、これからは行政の管轄の元に動物のお世話や販売、展示などを「業」という観点から商う事となりました。
「はなぶさ堂」で産まれて来る小鳥達を色々な方々にお迎えしてもったり、鳥達と触れ合ってもらう為の準備が整い、夢がひとつ叶ったのです。

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そして、もっともっと鳥達の部屋と人間の住まう場所を一体化して行きたいと考えて、 得意の日曜大工の始まりです。

材木を買い込んで来たけど何を作るのか知ら?

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慎重に木を組み合わせて、何だろう?
扉と同じくらいのサイズに組み上がったけど?

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ただ木を組み上げて作っただけのアミダクジみたいな代物?
いったい何に使うの?

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塗装はこげ茶色、新しい木材を古い建物に似合う様に塗って行きます。
そして仕上がりはこんな感じなのです↓。

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玄関ホールの窓を活かす為の装飾をあつらえました。
曇りガラスのデザインは昭和風だけど、窓枠のサッシは何だか味気なくて…、少しでも小江戸川越に似合う空間作りができていれば良いなあという発想からの工夫。

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2階の鳥部屋の窓にも同じ様に昔風の窓枠を誂えました。
こちらは鳥達にも好評で、みんな窓枠に止まって遊べるのが嬉しいのです。
このお部屋にお客さんを呼んで鳥達とのふれあいスペースにしたと思っています。

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十姉妹を放せば窓枠に止まってジュリジュリと鳴いてくれます。

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カナリヤも飛んで来ました。
隣のヒメウズラのカゴから溢れた餌をついばみに来たのかな?…。

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そして鳥部屋に続くベランダのスペースには鳥様専用流し台を設置。
カゴの丸洗いができるので、衛生面も万全。
何より鳥達が喜ぶのは…。

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水浴びもそのままに洗濯物と一緒にお外で日向ぼっっこができる事。

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十姉妹たちお外で水浴びが出来てご満悦なんです。

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文鳥達、水浴びしてから日向ぼっこするのは「める(芽留♀)」と「ゆきじ(雪路♂)」。

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そして引越しの荷物もだんだんと片付いて、鳥達も新しい生活に慣れて来ました。

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壁に掛けたコキンチョウのかご、放鳥するとみんなこの上に乗りたがります。

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3羽並んで桜文鳥のクリームサンドは、
「たもり(田森♀)」「みもり(未森♀)」「かる(駆♂)」。

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お部屋が広くなって行き場に迷う子もいます。

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そんな時には抱っこしてやってついでに健康確認です。
シルバー文鳥の「すず(錫♀)」今期も抱卵頑張ってね!。

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薄雪鳩の「おすみさん(墨♀)」も最初は戸惑っていたけど、今は新しい生活に慣れてのびのびと遊んでおります。

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ヒメウズラ達もみんな元気です!、相変わらずポケットに入ってくれて掃除の時は助かります。

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そしてウズラといえば、最近仲間入りした並ウズラの色変わりの子。
この子は鳥部屋で放し飼いとなっています。
毎朝大声で「コケケーーー」と鳴くのだけど私にはそれが「コッケ〜」と聞こえるので、この子には「こけ(苔♂)」という名前をつけました。
「こけ(苔♂)」を呼ぶ時は「コケ〜、コケ〜」と自分も鶏みたいになっちゃいます。

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そしてこの子達もニューフェイス。ダイヤモンドフィンチのご夫婦です。
卵は生むのだけど、上手に抱卵できるかなぁ…。

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キンカチョウ達もみんな元気、現在はペアを分けて繁殖の準備をしているけど、まだみんな若いので子作りよりも遊びに夢中です。

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さてさて今後のはなぶさ堂、繁殖者としての情報発信や直接販売はもちろん、自宅サロンとしても鳥好きのみなさんに場所を提供できる様に準備を進めております。
お店ではないので毎日解放と言う訳には行きませんけど、「小鳥茶会」などのイベントを企画中です!「小鳥の爪の切り方」や「正しい保定の仕方」などワークショップの要素も含めてみなさまにお越しいただける様に少しずつ整えて参ります。

一階のスペースでは、お迎えのお客さまに飼育説明などを行ったり、「小鳥茶会」ではお話を楽しむ談話室として。

二階の鳥部屋は鳥たちとのふれあいの場、テーブルやスツールも完備してゆっくり鳥達と触れ合って頂けます。

 

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鳥をお迎えしたいお客さんだけではなく、鳥を飼育されている方々の情報交換の場としても、「はなぶさ堂-昭和的小鳥サロン-」に是非遊びに来てください。

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繁殖状況や小鳥茶会の情報はinstagramTwitterでも情報発信いたしますので、みなさまお見逃しなく。



さて次回のお話は…。

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ヒメウズラを飼育している人がだんだんと増えて来ていますが、なかなか飼育本やブログ記事などもまだまだ少ない現状、餌は何をあげてる?飼育はカゴ?箱?わからないこともたくさんあって、オリジナルの飼育方法を持っている方も沢山居ます。
そんなヒメウズラには見落とされがちな病気があります。
はなぶさ堂の経験を元に、次回はヒメウズラにとってとても大切なお話を綴らせていただきます。

毎回最後まで読んでくださる皆様に感謝、次回もお楽しみに!


 2013年に書いた川越の記事はこちら↓。
狐好きな方は是非読んでみてくださいね。

hanabusa-do.hatenablog.com

 

 


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