鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

ウスユキバトのおはなし

もしも、一羽の鳥と一緒に生活するなら、「私は“薄雪鳩”と暮らしたい」そんな言葉を何人かの人に伝えた覚えがあります。

薄雪鳩には表現力の柔らかさがあって、いつも穏やかにして鳴き声もまた控えめ、主張の穏やかさにこそ“自分がそうありたい”と言う魅力を感じてしまうからです。
ハト故に、決して吼える事はしない、そんなお淑やかな性格が、少々齢を重ねたやもめ暮らしには丁度似合うのです。

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そんな「薄雪鳩」のい良いころは他にもたくさんあって、床暮らしのヒメウズラ達とも同じように地面を歩き回ったり、窓際の陽当たりに辿り着けば、ヒメウズラたちと一緒に日向ぼっこをしたり、部屋中を飛び回る文鳥や十姉妹たちとも一緒に羽根を羽ばたかせては、高いところに居てものんびりと過ごせる、オールマイティーで居られる臨機応変さを尊敬しちゃうのだけど…。

でも、そんな「おすみさん(墨♀)」は、カゴの中ではずっと独りぼっちだったの…。

鳥たちの交友関係と人の其れが然程食い違わないとも思いますけど、「他人に合わせられる事ほど、自分を孤独にさせる」そういう理解に行き届かない人間はたくさん居ます。「おすみさん(墨♀)」の孤独も多種多様ではなくて、本当の理解者を求める様に私は感じました…。

それからずっと「おすみさん(墨♀)」には常にパートナーをお迎えしたいと考えて居ましたけど、昨年の暮れにその夢は叶いました!。

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オスの薄雪鳩を「おすみさん(墨♀)」のお婿さんにお迎え出来たのです。
名前は「はまじ(浜路♂)」なんだか男らしく逞しい体付きです。

 

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薄雪鳩の雄雌の見分けは、雄の方がアイリング(目の周り)が太い。
メスは頭が少し小さく首が細長い等の点がポイントなのですが、私のまわりでは誰もが何故か口を揃えて『メスは鳴かない』と言います。
しかし、「おすみさん(墨♀)」は以前から「ぽーぽー」と囁くように鳴いていたので、雄雌の判断が付かずに居ました…。
そして、薄雪鳩はメスだけだと卵を産まないとも聞きますから、尚の事性別が分からなくて…………(汗)。

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だけど、飼い主のそんな焦りも裏腹に、2人はある時から巣作りをはじめました。
皿巣に巣草を運ぶ「おすみさん(墨♀)」と「はまじ(浜路♂)」、この頃から、今までは1時間に一回程度しか鳴かなかった「おすみさん(墨♀)」が、朝からよく鳴くようになりました。
もちろん「はまじ(浜路♂)」も「ぽーぽーぽー」と淑やかな声で鳴いてくれます。

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日にちが経つに連れて、どんどん仲良しになる2人。
時には「おすみさん(墨♀)」が「はまじ(浜路♂)」の背中に乗っかって遊んだりしていて、飼い主も笑顔を溢さずにはいられなくなります。

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二人並んでもっふりと日向ぼっこをするのも、穏やかな性格の薄雪鳩の日常。
ちなみに、この子達も竹カゴで生活をしていますが、竹カゴとしては比較的大きめな尺4寸(長編が43cm程度)のカゴで暮らしています。
身体はヒメウズラと同じ手の平に収まるサイズ感ですけど、この子達はとっても羽が長いので、シンプルな空間作りは欠かせません。

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そんなこんなで、2人が仲良くなってから1ヵ月程度、「おすみさん(墨♀)」は卵を産みました。
(飼い主:「おすみさん(墨♀)」がメスで良かったと旨を撫で下ろす瞬間でした…。)

しかし卵は隠すいっぽうで、全くと言っていいほど見せてくれませんでした…。
その素振りは、始めての抱卵に二人とも慌てているようにも見えました。

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「おすみさん(墨♀)」と「はまじ(浜路♂)」が抱卵を交代する時に、何とか2つの卵の存在を確認したのですが、一つは翌日に割れて巣の下に落ちていました…。

因みに、「鳩」は薄雪鳩に限らず二個づつ卵を抱きます。
この時のお腹の下には卵は一つしかなかったのだけど、それでも頑張って抱卵する「はまじ(浜路♂)」。

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尾羽をツンと立てて、変なポーズのまま抱っこしているところも、なんだか抱卵下手な感じを印象付けます…(汗)。

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夜にそーっと覗いてみても、2人は寄り添って卵を抱き続けていました。

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でもね…、お腹の下の卵にはヒビが入っていて、血管も見えず、15日程度経っても兆しが見られなかったので、これ以上抱かせても二人を疲れさせるだけと判断して、卵は取り除く事にしました…。

 

それからもう一つ、薄雪鳩の魅力は「羽」の綺麗さ。

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薄雪と言うだけあって、背中の粉雪模様もとっても綺麗なのですが、抜け落ちた羽の個性と地味な色使いには、ついつい拾い集めたくなります。

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長い尾羽や一部だけ濃く色付いた風切羽、実は薄雪鳩にも色のバリエーションがあって、ノーマルの固体はもっと背中が茶色っぽいのです。
この子達はシルバーと呼ばれる部類に入ると思いますけど、シナモン風な色合いの赤毛の固体も存在するようです。

そして、何よりも面白いのは、雄が発情すると孔雀のように尾羽を広げて求愛行動をすると言うところです。

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薄雪鳩の雄は求愛の為に、尾羽を開くと同時に「ぽー」と鳴いて、それを何度も何度も繰り返すのです。
「ぽー」の鳴き声は固体によって様々ですが、みんな自分の魅力をアピールしようと、独自にオス鳴きを持っているようです、みんな低めの声色ですが「ぽーー」とか「ぽう~」とか「ぽっぽぽるぽー」とか、他の鳥の囀りと同じでメロディーには様々あるようです。

そして尾羽を広げる様は、まるで木蓮のクリーム色の花びらが上向きに咲いている様な綺麗さで、それに強かで柔らかな鳴き声が伴なって、人間の飼い主ですらその行動には魅了されます。

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それから数日が経って、「はまじ(浜路♂)」求愛が伝わった頃には、また新しい命の準備がはじまりました。
熱烈な求愛を経て、2度目の抱卵。
今回は2羽とも落ち着き払って、卵を見せてくれるゆとりもあります。

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仲良く夫婦で暖めているお腹の下には、ほら、しっかりと2つの卵がきらきら輝いていました。

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そんな「おすみさん(墨♀)」と「はまじ(浜路♂)」の抱卵は現在も進行中。
順調に行けば双子の赤ちゃんのように、きっとそっくりな赤ちゃんが産まれる事でしょう。
かわいい双子が生まれるといいね~。


つづく。


さて次回は、

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ヒナ達の話も諸々途絶えないのですが、鳥たちの話も交えて「竹カゴ」のおはなしを書いてみようかと思います。
そもそも、プラスチックが苦手な「はなぶさ堂」ですが、竹や木の温もりを道具として培ってきた先人達の技術を、紐解いて紡ぎ直して行ければ良いなぁと思っています…。

次回もお楽しみに。

 


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