鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

ヒナたちのおはなし 其の四 ‐シナモン文鳥とクリーム文鳥‐

如月、まだまだ寒い朝に布団が恋しい時期ですが、寒くても朝から鳥たちはよく囀ります。
ヒナ達に限っては意外とねぼすけで、畚の蓋を開けた瞬間から朝が始まり、おねだりも始まり…。

そして、寝起きの伸びをする訳では無いけど、ぷるぷるっとお尻を振るヒナたちの尾羽はちっちゃくてとてもとても可愛いです。

よーく観察してみると、みんな色によって個性があって、棒羽(つくつく)が伸びてきた頃からだんだん色の変化が解ります。

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見るところは羽の生え際(根元)。
シルバー文鳥は羽やクチバシの色で直ぐに見分けられますけど、尾羽の根元もやはりグレー(シルバー)です。

根元から真っ白い子はパイド系統になる可能性もある子ですが、クリームにも真っ白いヒナは出るので、明るめの色に成長する子と言っておいた方が良いかもしれません…。

シナモン文鳥とクリーム文鳥のヒナは、身体全体の羽色が似て産まれる固体も多いので見分けにくいと言われる事もありますが、シナモン文鳥のヒナの尾の根元はグレー寄りの薄い茶色、クリーム文鳥の場合は明るくピンク掛かって居て、そんな所も見分け方の一つかと思います。

さてさて、今日はそんなシナモン文鳥とクリーム文鳥のおはなしです。

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シナモン文鳥の「あめ(飴♂)」と「ラーラ♀」このペアは2羽とも手乗りで、「あめ(飴♂)」とはもう長い付き合いで既に4歳になります。
「ラーラ♀」とは昨年知り合って、引き取った時点では1歳、未だ若い女の子ですが、とっても良く慣れていて、「あめ(飴♂)」がヤキモチを焼くほどです…。

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「ラーラ♀」には「あめ(飴♂)」のお嫁さんになって欲しかったので、カゴは別々だったものの隣同士に何ヶ月も生活させたり、夜は2人で放鳥させたりして、それでも「あめ(飴♂)」は、飼い主の手にばかり求愛するものだから、中々2人は仲良しにはなれませんでした…。

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「あめ(飴♂)」にはたくさんの友達は居たものの、カゴの中では“やもめ暮らし”が長かったので、他の子が自分のカゴに入ってくる事をとても嫌がりました。

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だけど、「ラーラ♀」は自信満々。いざ一緒に入れてみると何事も無かったかの様に振る舞いました、こういう時はやはり女性が強いものです…。

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それでもやっぱり、「あめ(飴♂)」が「ラーラ♀」を突いてしまうので、一緒のお部屋は朝の短い時間だけ、飼い主も中に手を入れて「ケンカしちゃだめだよ」とクチバシを摘まんだり、飼い主の指の上で求愛ダンスしたがる「あめ(飴♂)」を「ラーラ♀」に見せたりして、二人と遊んでやっていました。

しかし「ラーラ♀」はこれまでツボ巣で眠る生活を知らなかったのです、一緒のカゴで生活が出来たとしても巣引きは出来ないかぁ…、と思っていたのですが。

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「あめ(飴♂)」:こっちおいでよ!と言わんばかりに、最初は入ろうともしなかった「ラーラ♀」をついにツボ巣に呼び込んじゃいました…。

そして性格はいつに無く亭主関白な感じで、何だかギラギラしている「あめ(飴♂)」、あのビビリ症の「あめ(飴♂)」が…(汗)。

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そうして何とか「ラーラ♀」も卵を産んでくれて…。

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卵を抱くか、飼い主に抱かれるか、迷っていた「あめ(飴♂)」でしたけど、しっかり巣草や巣材を運んだりして、男らしい仕草も見せつつ、お嫁さんをもらう事に成功しました。

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卵を抱く「ラーラ♀」最初の卵は全部で5つ産みました。
因みに中にある新聞の切れ端は「あめ(飴♂)」が運び込んだもの、2人とも子育て初挑戦なので、たまに新聞紙がツボ巣の蓋をしてしまったり、てんやわんやな抱卵になっていました…。

だけど、2人の思いも空しく、最初の卵は孵りませんでした…。
最初の卵の孵化を諦めかけた時「ラーラ♀」は次の卵を産み始めたのです。
慌ててツボ巣を取り上げて、先にあった卵を取り除きました。
すると2人とも何事も無かったかのように、抱卵を再開して、今もまだ大切に卵を温めています。

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さてさて、こちらはクリーム文鳥の「ちゃちゃ(茶々♂)」と「いと(緒♀)」この子達はそもそも手乗りじゃないので、安心して子育てを任せられます。

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最初の卵はなんと6個。
巣の中にも無駄なものは持ち込まずとってもきれいに卵をお世話していました。
文鳥にも性格が出ますね…。

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そして、写真は卵から孵って3日程度。
6羽全員が孵った事を確認した筈だったのですが、1羽が見当たらず5羽に…。
小さな小さなヒナの身体ですから、親鳥ががんばってもがんばっても生後間もなくして落鳥してしまう子も居ます…。

次の写真にはあえて“ぼかし加工”を施しますが、私はこれも「いと(緒♀)」の愛情でしかないと感じたのでおはなしさせて下さいね。

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「いと(緒♀)」のクチバシには、生後間もなくして落鳥した赤ちゃんが居ました…。
その身体は他の子たちの勢いに負けて、小さく小さく縮こまっていましたが、「いと(緒♀)」には、自分の子だという事がしっかり解っているみたいでした。
他の子達のごはんの時間以外は、丸一日、片時も離さずにこの子をクチバシに加えていました。
止まり木の上では、自分のお腹の下に入れて暖める仕草をしたり、「ちゃちゃ(茶々♂)」が心配そうに寄り添っても尚、「いと(緒♀)」はこの子を離しませんでした…。
私はこれを見てどうする事も出来ず、少し涙すら浮かべましたが、「いと(緒♀)」も翌日にはヒナの死を理解した様子だったので、これ以上「いと(緒♀)」が悲しい思いをしないように、小さな身体を引上げて土に埋めてやりました…。

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そんな出来事があっても、他の子達の育児もしっかり全うする「いと(緒♀)」。
私はこの子に「緒:いとぐち(ものごとのはじまり)」という意味の名を与えて本当に良かったと感じました。

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お父さんだって負けてませんよ!
「ちゃちゃ(茶々♂)」もしっかりイクメンぶりを発揮して、5羽のヒナ達は日に日に成長を遂げました。

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目が開くか否かと言うところで育雛を交代、まだ少しクチバシが小さかったので、最初はフォーミュラ(ヒナ用の粉ミルクみたいなもの)から与えて、少しずつ粟玉に変更していきました。

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大きな口をあける、小さな怪獣たち。

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お腹いっぱいになれば眠るだけ…。
そうしてくれるだけでこちらは癒されます…。

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頭の羽がやっと生え揃ってきた頃に、先ず2羽が一緒に新しいおうちに引き取られました。
その子達は「ピピ」と「モカ」という名前を貰って、兄弟一緒にすくすく育っています。そして、写真の3羽も別々にだけど、あたたかいおうちにお迎えされました。

名も無い雛たちと共有する時間を終えた所から、この子達は新しい名を貰うんだなぁ…。

お迎えされた先で、なんて名前を貰ったのか、どんな生活をしているのか、私にも解らない子達も居ますけど、それでも、私自身が「いとぐち(緒)」になれるだけで、なんだか暖かい気持になります。

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そしてまた、新しい命は育まれ、この子達もまた何処かで新しい名前を貰うことでしょう…。


つづく



さて、次回のおはなしは…。

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ウスユキバトの「おすみさん(墨♀)」ぽーぽーっと春のお知らせ。

2月も半ばに入ってまだまだ寒い日が続きますが、朝の陽の出の時間も少しづつ早まって居ます。
朝が早いと鳩時計達もその分早く鳴いてくれて、春も直ぐそこの様に感じるこの頃です。
次回もお楽しみにね。

 

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