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鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

ヒナたちのおはなし 其の弐 ‐キンカチョウ‐

錦花鳥(キンカチョウ)

冬の寒さも深まり、飼鳥たちにとっては温度の低下に気をつけたい時期ですが、1月も半ばに入って、やっと朝の陽の出の時間が少し早まって来た事が、飼い主にとっては嬉しいこの頃です。
だって、朝が早く訪れてくれれば、その分だけ鳥たちに時間を使ってやれるのだから…。

さてさて、引き続き「ヒナたちのおはなし」ですが、今回は「キンカチョウ」の雛のお話しを綴らせていただきます。
前回のシルバー文鳥のヒナ達と時を同じくして10月半ば頃のおはなし。

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キンカチョウの「てん(甜々♂)」と「なつめ(棗♀)」の間にも卵が産まれていました。
キンカチョウは特に産卵の時期が定まっている様には思いませんが、はなぶさ堂の環境下では、十姉妹と同じ様に春と秋に卵を産む子が多いように思います。

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一所懸命に抱卵をしている「なつめ(棗♀)」。それを覗き込む「てん(甜々♂)」。

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「そろそろ交代しようか?」と必要に覗き込んでは、「なつめ(棗♀)」に『ぺーペー』っと一喝されてしまう「てん(甜々♂)」。
「なつめ(棗♀)」は殆ど交代せずに卵を大切に大切に暖めていました。
だけど、自分がご飯を食べたい時だけ「てん(甜々♂)」に交代してもらうのが、いかにも「なつめ(棗♀)」らしくて微笑ましかったのです。

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そしてある日、小さな小さなヒナが一羽孵ったのです。
念願の「てん(甜々♂)」と「なつめ(棗♀)」のあかちゃんに飼い主は大喜びでした。

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だけど「なつめ(棗♀)」と来たら、ヒナが孵ってからは一度もつぼ巣に入ろうとしないのです…。
それどころか「なんか変な奴いるっ!ぺーぺー」と、私に訴えかける様子、その上「てん(甜々♂)」が巣に入ろうとする事まで阻止していました…。

そう、またまた“育児放棄”をしてしまったのです…。
以前にも「なつめ(棗♀)」の育児放棄の事はこのブログに書いたと思いますけど、キンカチョウは特に育児放棄をする子が多いと聞きます。
思いを返せば「なつめ(棗♀)」本人も“育児放棄”をされて人の手で育った子なのです…。

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そして、止むを得ず巣から引き上げてみたのですが、あまりの小ささに愕然としました…。
他の卵も孵らないかと、毎朝毎晩巣の中を覗き込みましたが中止卵となってしまい…。
でも、とてもとてもカワイイこのチビスケだけでも、どうにかして命を繋いでやろうと必死になりました。

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大きな口を空けてお腹が減りに減っているチビスケ、鉛筆の先っちょ程度しかないそのクチバシですが、先ずはさし餌をしてやれないと確実に命を落としてしまいます…。
爪楊枝の先を平らに削って、サラサラに溶いたフォーミュラをほんの数滴づつ飲ませました。
それでも、“そのう”に上手く溜まっていかないので、止むを得ず十姉妹たちに協力を依頼しました。

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十姉妹達は幾ら子育てが上手といっても、他人の子をいきなり放り込んで育ててくれる様な子は、よっぽど育児が好きな子だけだと思って居ましたから、本来ならタイミングが要って、十姉妹達が自分の子育てや抱卵をしているところに他のヒナを放り込んでやるのがその一番の術だと思うのです。
当然そんなにタイミング良く子育てしている子は居ず…。
それを解っていても、人の手の上より十姉妹達のお腹の下の方が暖かいに決まっている。そんな僅かな期待を込めて十姉妹たちに委ねてみました。

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すると「きなこ(黄粉♀)」の母性本能発動。
写真は動画からのキャプチャなのでとても見難いのですが、十姉妹の「きなこ(黄粉♀)」がクチバシから吐き戻してチビスケにごはんを与えている所です。

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それでも、やはりチビスケは弱っていく一方で、流石にこの小さな子を連れ歩く訳にも行かず、留守中は十姉妹たちに願いを込めてチビスケを委ねましたが、十姉妹達もなかなか本領発揮とは行かず、出来る事の全てを尽くして私の手からも僅かなさし餌を飲ませてやりました。

そして、十姉妹と協力する事3日が経って、キンカチョウのヒナ特有の綿毛が開き始めた朝に、十姉妹達の巣の中でチビスケは息を引き取って居ました…。


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そんな苦労は知ったこっちゃない!と、変なポーズをとる親鳥の「なつめ(棗♀)」…。
だけどね、彼女は何にも悪い事はしてないの…。
本能で生きているのが動物なのだから、その卵を取り上げながら進化させてきた、人間の方がよっぽど捻じ曲がっているのかも知れません…。

成功者だったり、失敗を知らない人は口を揃えるようにしてこう言います。

育児放棄された雛や卵は十姉妹に育てさせればいい」


私はそれを一概に間違いとは思いません、十姉妹の育児能力は飼鳥の歴史を以ってして、むしろ人間が作り上げてしまった機能だとも思いますから…。
だけど、その経験は十姉妹のスキルであって、成功者のものではないですよね?。

人間には「言葉」があるから経験を語ろうとして当たり前と思います。
そして逆に失敗をした事のある人はあまり多くを語りたがりません…。

私は今回、育児放棄されたヒナの育雛に失敗をしました…。
だからこそ敢えてここに記しておきたい事。
それはね。

「十姉妹に養母や卓卵をさせるには、タイミングが重要です」という事。

十姉妹は確かに育児能力の高い鳥です、しかしそれは進化の過程で培ってきた「本能」でそうしているのですから、当然要らないヒナは放り出される事もあります。

先人の知恵や言葉は大切にしたいですけども、何事も進化していく世の中、人から聞いた事だけでは賄えない事は幾つもあります。

“もし自分が”「お迎えの無い鳥だったら」「放り出された雛だったら」「他人の子を突然預かった十姉妹だったら」どう思うのだろう?
人間同士でも同じ事だけども、相手の事を思いやる気持は時に知識や経験を上回る事があると私は思っています。

いかんいかん…、文章が堅苦しくなってしまいましたが…、人間と同じで鳥もみんな性格は各々異なるものなのだから、“いきもの”として一緒に「協力」して生きて行きたい。
そんな風に私は思うのです…。



さて、次回も“ヒナたちのおはなし”は続きます。

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ホオグロ文鳥の「トトさん(徒々♀)」とアルビノ文鳥「ゆき(雪♂)」の間に産まれた子。「たもり(田森)」と「みもり(未森)」のおはなし。
次回は元気いっぱいなお話しを書きたいなぁ。