鳥とハーモニカ

はなぶさ堂の日々の事。

十姉妹の雛 / はなぶさ堂流の育て方。

前々回ご紹介した、十姉妹の雛2羽のお話を書きます。

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我が家で産まれた2羽の雛。
生後14日くらいに巣上げしました。
巣上げしたばかりの時は、まだ「さし餌」も上手に食べたがらないので、
朝に一度、巣から上げて人の感覚を覚えさせて、
そのまま親鳥に返すという方法で、最初は親鳥達と協力してさし餌をしました。

うちの場合、親鳥5羽(♂1・♀4)の環境。
※親鳥は3羽までにする方が良いらしいです。
本来なら一度巣上げしたら親鳥は育児放棄する可能性も高いですが、
うちの子たちは喜んでお世話してくれていました。

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生後18日目くらいで完全に巣上げ。
それにしても、クチバシが小さくて普通の「差し棒」ではクチバシに入らず、
スポイトや、ゴム管付きの注射器、さし餌用の竹匙など色々試しつつ、
餌に関しては粟玉、エッグフード、フォーミュラ、プラスグリーン等を用意しておきました。

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左上:エッグフード、お猪口の中:粟玉、袋もの:プラスグリーン、フォーミュラ。
左下から:竹匙、フードポンプの先に短めのゴム管、さし棒。

幼い内は一日に4回はさし餌が必要。
最初はお湯で溶いたフォーミュラがさし易いです、
フードポンプを使ってさしました。

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何故、先っちょにゴム管が要るかと言うと、クチバシの奥に器官があって、
そこに間違って餌が入ってしまうとさし餌で死んでしまう可能性があるからです。
ゴム管を付けて置くとまるで乳首を吸うかの様にどんどん加えてくるので、
十姉妹等のフィンチの場合、喉の奥まで入り過ぎないように、
ゴム管は短めにする方が良いのだそうです。

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フォーミュラは他のものと混ぜなくてもそのまま上げられて便利です。
お湯で溶いてカレーくらいのとろみが付くように混ぜます。
温度は皆さん気にすると思いますが、うちでは熱湯で豪快に溶いてます。
お猪口に少量作れば、あっという間に冷めます。
温度としては湯銭で60度くらい(餌が40度位になるよう)にするのがいいと聞きますけど、

正直さし餌毎に、いちいち計っている暇はなく、直ぐに冷めます。
指で触って「熱くない」または「あったかい」くらいで、
ささっと時間を掛けずにさしても、終わりには冷えています。
因みに、ジャガイモを溶いているようなとっても美味しそうな臭いがします!。

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食べたら「そのう」が膨らんで、そのまま寝てしまいます。
一度にあげる量は「そのう」の半分くらいを目安にして小まめにさしました。

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フォーミュラでお腹いっぱいになったら、直ぐ大人しくなります。

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生後20日目くらいから羽先もしっかり開いてきて、
いつの間にかクチバシにはさし棒が入るくらいまで育っていました。

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ほら、こんなに大きく口を空けられます。
それならばと、そろそろ腹持ちの良いご飯に変更しましょう。

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さし棒でも、もうご飯がもらえました。

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さし棒であげるのは、粟玉をお湯でふやかしたもの。
結構ぐずぐずで大丈夫です。
粟玉だけでも大丈夫ですが、うちではプラスグリーンとエッグフードを一緒に混ぜています。
エッグフードを混ぜる事で、粘りが出るのであげ易いし栄養分も考慮。
そして、雛のうちから「野菜の味も知っておけ」と、パウダーですが緑のビタミンも。

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満腹顔の雛たち。因みにこの時点でさし餌の回数は一日2~3回。

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前回の記事でもご紹介した「鳥屋さんの手伝い企画」にも連れて行き、
文鳥の雛たちと一緒にさし餌を貰うという貴重な体験もしました。
文鳥たちに影響されたのか、この時はじめて羽をばたつかせ、
フゴのフチまで登れるようになりました。

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2日間の出張にも付いて来てくれた雛たち、
おうちに帰ってぬっくぬくでした。

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生後25日前後、飛ぶ練習をはじめて、
しっかり掴まり立ちも出来るようになりました。
この時点ですっかり手乗りの十姉妹、里親さんにも可愛がってもらえる事でしょう。

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フゴから竹カゴに移動。しっか止まり木に掴まってます。
カゴをあけると直ぐに飛んでくる2羽、さし餌は朝だけの一回。

左の子は両まゆ毛(父の遺伝)、右の子は麻呂まゆ毛、
里親さんのお迎えを待って名前は付けられなかったけど、
うちで産まれ、裸ん坊のヒナからよくここまで成長してくれました。
しっかりと羽も生え揃って、もう一人でも寒くないね。

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そして、お迎えの日、旅立ちの時。
両まゆ毛:生後30日目。麻呂まゆ毛:生後32日目。
里親さんが持ってきてくださったキャリーの中でも直ぐに落ち着いて、
2羽は別々のおうちに旅たって行きました。
とても、優しいお二方で、たくさん鳥を飼育されている方々でしたから、
安心して送り出せました。

この一ヶ月間、
自分も忙しかったのだけど、さし餌の時間を癒しタイムに置き換えて、
さし餌の毎にヒナ達にゆとりを貰いました。
一ヶ月なんて短い時間だけど、ヒナ達にも「鳥屋の手伝い」に来てもらったり、
忙しい時は一緒に外出したりして、様々な人に会って可愛がってもらいました。
多分きっと、それはヒナ達にもいい経験だったと思っています。

何より、満たされているのは私の気持ち。
古い時代に人間の都合で作り出された小さな飼い鳥が、
また新しい人の手に渡って、そうやって血を絶やさぬように、
いつまでも共存して…。

鳥の寿命は短いものだけど、人の記憶とか経験の中には「生かす術」が残ります。

そんなこんなで、
私の育て方が必ずしも正しいとは思いませんが、
鳥を育雛される方に少しでもご参考になれば幸いです。

 

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