鳥居と油揚げ・番外編 (東京港区赤坂 / ねこ稲荷)
こんな夢を見ました。
だから絵に描いてみました。
歩いていると、後ろから小さなキツネが私の後をついてくるのです。
それならば、一緒に行こう!と、ひたすら歩く夢でした。
狐はどんどん増えてきて、みんな赤色の前掛けをしていました。
そしてその日、目が覚めて、呼ばれるように赤坂のビル街へ。
地下鉄で赤坂見附の駅まで、なんとなくスーツ姿の方々に混ざって、
ジーンズ姿の私は別世界に足を踏み入れてしまった感覚、
ビル群の中に私と同様に場違いな格好で其処に在ったのは…。
本当にビルとビルの隙間でしたが、お稲荷さんが鎮座しているのです。
「美喜井稲荷」というのがこのお稲荷さんの名称です。
本来地面に建っていて然るべきと思いますが、
地面からも離れてしまい、地下駐車場の入り口の上に在しているのでした。
「京都の比叡山からお降りになった霊の高い神様」なのだそうです。
何年もの時を経て人間の都合からか立地さえこの状況でしたが、
ビルに埋もれたこの地を未だ守っていてくれているのはなんと。
お猫さまなのでした!。
私といえばキツネ憑きで鳥好きで妖怪好きなので、
このお猫さまには感激さえ覚えました!
五穀豊穣を祈願して作られた小さなお稲荷さんならば何処にでも在りますが、
このお稲荷さんには油揚げは通用しないようです。
六畳一間程にすら感じられるその空間には、
小さな手水桶まで備わっていて、お賽銭をお納めして、手を合わせて、
この日の出会いを先ず感謝して、そして、拝殿の屋根を見上げると…。
ここにも猫の彫刻が。
右の猫は「人」の魂を喰らっている様な、何とも奥深い物語を考えさせられる印象でした。私としては人の煩悩を喰らい尽くす「心優しい妖怪猫」の印象なのですが、この貫禄には暫し恐怖するものがありますね。
そして、左に位置する猫はといえば。
なんとなんと「鳥」と戯れているのですっ!
時間の経過で色が褪せたのか、それとも意図したことなのか、
嘴と両翼の先が綺麗なピンク色に染まっていて、
この角度からだと鳥が猫耳をついばんで、猫が「痛てて」という表情をしているようにも見えます…、そうして猫と仲良く遊んでいるようにも見える所が、右の猫とは対照的なユーモアすら感じましたよ。
しかしこのビル群の一角に大切に祀られている猫のお稲荷さん、
近代的に(人為的に)コンクリートや鉄に囲われてはいるものの、
小さな箱庭のようで、いつまでも其処に居たい、とても離れたくない場所でした。
「この神様にお願いする方は蛸(たこ)を召し上がらぬこと」
「この神様を信仰される方は何も心配ありません」なのだそうです。